ChatGPTで資料作成、実在しない判例引用 米国の弁護士

2023/05/24 02:00

 愛知県内の女性がだまし取られた特殊詐欺の被害金約1760万円が、暗号資産に替えられて口座を転々とし、その後、再び現金に戻されていたことが捜査関係者への取材でわかった。警察庁サイバー特別捜査隊が取引記録を解明し、愛知県警が23日、口座を管理していた男2人を詐欺容疑で逮捕した。口座に送られた暗号資産は計約6億円分に上り、県警は資金洗浄(マネーロンダリング)を図った疑いがあるとみている。

 捜査関係者によると、逮捕されたのは、中古品販売会社「クラッカーズ」(東京都新宿区)実質経営者の宮代東生(35)(埼玉県川口市戸塚)、同社役員の本間周平(35)(新宿区大久保)両容疑者。

 2人は仲間と共謀して昨年2~4月頃、実在するインターネットセキュリティー団体の職員や警察官を装って愛知県知多市の会社員女性(78)に電話。「あなたの携帯電話が遠隔操作されてサイバー攻撃に使われ、多くの被害者が出た。弁済義務があるが、保険に入れば補償を受けられる」などとうそを言い、架空の保険料名目で39回にわたって計約1760万円を振り込ませて詐取した疑い。

 被害金の振込先は、SNSの「闇バイト」に応じた人物が開設した口座で、その後、全額が暗号資産に替えられていた。警察庁サイバー特捜隊が捜査に加わって暗号資産の取引記録を追跡したところ、複数の口座に分散させられて転々とした後、被害金の一部に当たる約130万円分が、両容疑者が管理する法人名義の暗号資産口座に送られていた。その後、暗号資産から現金に再び戻されていたことも確認された。

 この暗号資産口座には計約6億円分の暗号資産が送られていたが、全て同様に現金化されていたという。県警はほかにも特殊詐欺の被害金が含まれるとみて、現金の行方や詐欺グループの実態を調べている。

 警察当局によると、特殊詐欺事件では近年、被害金を暗号資産に替えて隠す手口が各地で確認されている。警察庁が昨年4月に創設したサイバー特捜隊は、ネット上で公開されている暗号資産の取引履歴を追跡する捜査手法を昨年秋に導入し、今回、両容疑者の口座に被害金が流れたことを突き止めた。同隊の追跡で特殊詐欺の容疑者を摘発したのは全国初という。

暗号資産で資金洗浄か、サイバー特捜隊が解明…詐欺容疑で男2人逮捕