2023年5月11日 11:11
警視庁は11日、他人になりすまして発行させたスマートフォンのSIMカードを使い、被害者名義の銀行口座から約200万円を不正に送金したとして、無職の大根田愛美容疑者(30)=栃木県上三川町=を電子計算機使用詐欺などの疑いで逮捕したと発表した。携帯電話販売店で他人になりすましてスマホの番号を乗っ取る「SIMスワップ」と呼ばれる手口という。愛知県警も1〜2月にSIMスワップによる不正送金事件を摘発した。警視庁による摘発は今回が初めてだが、国内で被害が目立ち始めている。
逮捕容疑は2022年9月、携帯電話販売店で被害者の氏名を名乗るなどして本人になりすまし、SIMカードを再発行させて入手。被害者の銀行口座のネットバンキングでIDやパスワードを入力して不正にログインし、関係する暗号資産口座に197万円を不正に送金した疑い。
ネットバンキングでは一般的に、本人確認のため音声やSMS(ショートメッセージサービス)による認証が使われている。ログインや送金をするためにはIDとパスワードに加え、利用者にその都度送られる「ワンタイムパスワード」を必要とする仕組みだ。
容疑者らは被害者名義のSIMカードをスマホに差し込み、ワンタイムパスワードを容疑者側のスマホで入力したとみられる。ネットバンキングのIDといった個人情報は偽サイトで情報を入力させ盗み取る「フィッシング」などを通じ入手したもようだ。
暗号資産口座には22年7〜10月にかけ、25人の口座から計約9千万円が振り込まれていた。警視庁は詳しい経緯を調べている。
捜査関係者によると、大根田容疑者はSNS(交流サイト)でSIMカードの不正入手役などを募る投稿に応募したという趣旨の供述をしている。同庁は指示役がいたとみて捜査を進める。
スマホ乗っ取り「SIMスワップ」で不正送金 警視庁摘発