<独自>サイバー防衛人材育成へ新団体 元次官ら調整役に
2023/7/23 19:19
他国に比べ脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されるサイバー防衛を人材育成面で強化するため、サイバー防衛に携わった防衛省や自衛隊、経済産業省などの元幹部らが、官民の調整役となる民間団体を設立することが23日、分かった。複数の関係者が明らかにした。情報通信産業を結集させ、政府と連携してサイバー安全保障の強化を推進する。8月上旬にも提言書を公表し、早ければ年内の設立を目指す。団体を設立するのは、自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた斎藤隆氏のほか、鈴木茂樹元総務次官▽安藤久佳元経産次官▽島田和久元防衛次官▽中村格前警察庁長官-の計5人。今年に入り有識者を含めた会議を13回開き、主要国のサイバー安保戦略の分析などを通じて提言を検討した。
提言は、現状の産業界は犯罪集団などによる企業へのサイバー攻撃には危機感が強いが、他国からの重要インフラなどへの攻撃に対する意識は低いと指摘。自衛隊のみならず政府や産業界が一体となって高度な人材の育成を急ぐ必要があり、環境整備を求めた。
具体化へ、元幹部らが発起人となり一般社団法人を設立する。今後、設置されるサイバー防衛の司令塔などの政府機関と連携し、産業界が高度な人材を育成できるよう支援する。主な取り組みとしては、サイバー攻撃への対処に必要なスキルを調査し、統一的な育成カリキュラムの要素を整理。認証制度の創設を検討するほか、将来的には民間登用しやすいように人材を登録しておく人材バンクとして機能することも想定する。
立地は陸上自衛隊通信学校や各種の研究機関が集積する神奈川県横須賀市を検討している。加盟する各企業から人員を拠出して運営する。政府指定機関として法的な位置付けを明確化することも視野に入れる。
<独自>サイバー防衛人材育成へ新団体 元次官ら調整役に