バックアップからもマルウエア検出で復旧遅れ、名古屋港統一ターミナルシステム
2023.07.06
名古屋港運協会は2023年7月6日、ランサムウエア被害によって停止していた「名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)」について、同日午前7時半に復旧したと発表した。当初は同日午前8時半から搬出入作業の再開を予定していたが、システム復旧の遅延に伴い午後からの再開予定に変更。開始時刻の詳細は別途案内するとしている。NUTSのシステム障害は2023年7月4日午前6時半ごろに発生した。同協会は当初、7月5日午後6時をめどに復旧を図るとしていたが、同日午後8時に延期。だが、午後8時になっても復旧できなかった。同協会の菊川幸信専務理事は「感染前のバックアップをもとにセキュリティーのチェックをしながら復旧していたため時間がかかった。さらに、バックアップデータを保存していたサーバーからもランサムウエアが検出された。その駆除に相当な時間を要した。駆除を終えて復旧に至った」と説明する。
システム復旧後は障害中に積み下ろしたコンテナの情報を入力する必要がある。さらに、こうして入力した情報と実際のヤード内での配置状況を照合しなければならない。「1分1秒でも早い搬出入作業再開に向けて、夜を通して作業を進めている」(菊川専務理事)
被害規模について、菊川専務理事は「1日平均約7500本のコンテナを通常は処理している。一昨日(4日)と昨日(5日)の2日間では、約1万5000本のコンテナの搬出入ができなくなったとみられる」と説明した。
NUTSのシステム障害とほぼ同時に協会のプリンターからは、ランサムウエアに感染しているという通告などが勝手に印刷された。その通告文に記載されていた内容から、ロシア系とみられる攻撃者集団「LockBit」による犯行と考えられている。
バックアップからもマルウエア検出で復旧遅れ、名古屋港統一ターミナルシステム